外鎌山山頂で西阿公に伝わる古いうた
 「桜井町史」827頁には以下の記述があります。
 西阿公(さいあこう)は最後におよんで、忍阪の外鎌山に大事な宝物を山頂の地中に埋めて討死したのだと云う。
 地中に埋められたのは西阿公が大切にしていた純金の鳥であった。
この鳥は西阿公が亡くなってからも、毎年、旧正月の早朝、一日だけ出て一声鳴くと云う。
 そしてこの鳥の埋めた場所は、山頂にあった「うつぎ」という木の根元で、今も
「金(かね)欲しくば外鎌(とかま)の山の、三葉うつぎの根を堀りやせ」
と云う俚謡(りよう)がある。
 俚謡(りよう)とは民謡の同意語。明治から昭和20年代まで用いられたが、今日では死語となっている。「民間で歌い伝えられた歌、さとうた、俗謡」をいい、田舎(いなか)らしい唄(うた)、田舎の唄、都会のように洗練されていない唄などをさす語であった。        

          岡山文夫(桜井市観光ボランティア 朝倉台在住)

三つ葉ウツギは5~6月に、若枝の先に円錐形の、小さな白い花を複数つける。両性花。